生活習慣病の療養計画書の書き方|令和8年度改定の様式・記入例と効率化

生活習慣病管理料を算定する外来では、患者さんごとに療養計画書を作成し、その計画書を用いて説明し、同意を得る必要があります。2026年(令和8年)6月の診療報酬改定で、療養計画書の様式は1種類にまとめられ、患者さんの署名も不要になりました。

医療機関で療養計画書を作成するご担当者に向けて、改定後の様式に沿った書き方と、作成の手間を減らす方法をまとめました。

調査基準日:2026年9月25日。制度に関する記述は、厚生労働省の告示・通知・様式・事務連絡に基づいています。

この記事でわかること

  • 2026年6月の改定で、療養計画書の何が変わり、何が変わっていないか
  • 初回と継続で、療養計画書をお渡しする時期
  • 様式の欄ごとの書き方と、それぞれの欄のもとになるカルテの記載
  • 様式の電子化からAIによる下書きまで、作成の手間を減らす方法と注意点

生活習慣病の療養計画書とは? 管理料の算定に必要な書類

療養計画書は、生活習慣病管理料(Ⅰ)または(Ⅱ)を算定するときに作成する書類です。管理料を算定できるのは許可病床数が200床未満の病院と診療所で、対象は、脂質異常症、高血圧症、糖尿病のいずれかを主病とする外来の患者さんです。

この管理料は、患者さんの同意を得て治療計画を立て、生活習慣に関する総合的な治療管理を行った場合に算定します。療養計画書は、その治療計画を患者さんと共有するための書類です。通知では、療養計画書を用いて丁寧に説明し、患者さんの同意を得た場合に算定できるとされています。

療養計画書の「ねらい」

様式の冒頭には、ねらいとして「検査結果を理解できること・自分の生活上の問題点を抽出し、目標を設定できること」と書かれています。患者さんがご自身の検査結果を理解し、生活のどこを見直すかを医師と一緒に決めることが、この書類の目的です。

療養計画書の要件(2026年6月から)

様式、説明と同意、お渡しの時期などの要件を、次の表にまとめました。療養計画書に関する要件は、(Ⅰ)と(Ⅱ)で同じです。

療養計画書の要件(2026年6月から)
項目 内容
様式 別紙様式9、またはこれに準じた様式を用います。記載は、その患者さんの治療管理に必要な項目だけで差し支えありません。
説明と同意 療養計画書を用いて丁寧に説明し、患者さんの同意を得ます。
患者さんの署名 不要です(2026年6月から)。
写しの保存 お渡しした療養計画書の写しを、診療録に添付します。
継続のとき 内容を変えたときにお渡しします。変更がなくても、概ね4か月に1回以上はお渡しします。患者さんやご家族から求められたときもお渡しします。
血液検査の欄 検査結果を別にお渡しし、その旨を診療録に記載している場合などは、記載を省略できます。

出典:厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和8年3月5日 保医発0305第6号)別添1 B001-3・B001-3-3、同 別紙様式9。通知では、お渡しすることを「交付」と表しています。

2026年6月の改定で、療養計画書の何が変わった?

2026年(令和8年)6月1日に施行された診療報酬改定では、療養計画書の様式が1種類にまとめられ、「患者及び医療機関の負担を軽減する観点から」患者さんの署名が不要になりました。下の図で、改定の前と後の様式を切り替えてご覧ください。

様式の比較

改定の前と後で、療養計画書の様式はどう変わったか

表示する様式を選ぶ

別紙様式9

生活習慣病 療養計画書 初回用

患者氏名・生年月日・主病

【目標】【①達成目標】【②行動目標】

重点を置く領域と指導項目

検査

患者署名医師氏名

別紙様式9の2

生活習慣病 療養計画書 継続用

( )回目・患者氏名・生年月日・主病

【目標】【①目標の達成状況】【②達成目標】【③行動目標】

重点を置く領域と指導項目

検査

□患者が十分に理解したことを確認した

患者署名医師氏名

別紙様式9

生活習慣病 療養計画書 □初回 □継続

患者氏名・生年月日・主病

【目標】【①達成目標】【②行動目標】

【目標の達成状況】(継続の場合のみ)

重点を置く領域と指導項目

検査

医師氏名のみ

改定前は、様式が初回用と継続用の2種類に分かれ、どちらにも患者さんの署名欄がありました。継続用には、回数の欄と、患者さんが理解したことを医師が確かめる欄もありました。

改定後は、様式が1種類になり、「初回」「継続」をチェックで区別します。継続のときは【目標の達成状況】を書きます。患者さんの署名欄はなくなり、末尾は医師氏名の欄だけになりました。

※様式の項目を要約した図です。実際の様式は、厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」の別紙様式でご確認ください。

変わったこと:様式は1種類に、患者さんの署名は不要に

  • 様式が1種類になりました。改定前の「初回用(別紙様式9)」と「継続用(別紙様式9の2)」は、1枚の別紙様式9にまとめられました。
  • 患者さんの署名が不要になりました。計画書に患者さんの署名を受けるという要件が通知から削除され、様式の署名欄も医師氏名だけになりました。
  • 改定前の様式も使えます。通知では、従前の様式を用いても差し支えないとされています。

変わっていないこと

  • 療養計画書を用いて丁寧に説明し、患者さんの同意を得ること
  • お渡しした療養計画書の写しを、診療録に添付すること
  • 継続のときにお渡しする時期(内容を変えたとき、概ね4か月に1回以上、求められたとき)

検索で見つかる記入例にご注意ください

「初回用」「継続用」と書かれたものや、患者さんの署名欄があるものは、2026年5月までの様式です。改定前の様式を使うこと自体は認められていますが、当時の記入例の説明には、署名のように現在は要件ではない内容が含まれていることがあります。改定後の様式は、厚生労働省の「様式(医科)」の22ページ(別紙様式9)でご確認ください。

管理料の要件で、あわせて変わった主なこと

療養計画書とは別に、生活習慣病管理料(Ⅰ)では、必要な血液検査などを、原則として6か月に1回以上行うことが求められるようになりました。ほかの医療機関で行った検査や、特定健康診査などの結果を参照できる場合は、この限りではありません。その場合は、参照した検査の結果を診療録に記録します。この決まりは(Ⅰ)だけのもので、(Ⅱ)にはありません。

また、(Ⅰ)(Ⅱ)ともに、次回の受診日を患者さんと相談して予約することが要件に加わりました。予約診療を行っていない医療機関では、患者さんと相談して次回の受診日を決めます。患者さんの都合で日付が決まらない場合は、次に受診が必要な時期を十分に説明します。

出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定 個別改定項目について」Ⅱ-3-②、同「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和8年3月5日)別添1 B001-3・B001-3-3、別添1の2 通則、厚生労働省「疑義解釈資料の送付について(その1)」(令和8年3月23日)問33・問34。

療養計画書はいつ作成し、いつお渡しする? 初回と継続の違い

療養計画書は、管理料の算定を始めるときに作成し、患者さんにお渡しします。初診料を算定した月には生活習慣病管理料を算定しないため、新しく来られた患者さんでは、初診の翌月以降の受診から算定を始めます。この後の記入例でも、初診は8月18日で、計画書は9月1日の再診で作成しています。

2回目以降(継続)は、計画書の内容を変えたときにお渡しします。変更がなければ毎月お渡しする必要はありませんが、概ね4か月に1回以上はお渡しします。患者さんやご家族から求められたときも、お渡しします。目標や指導項目を見直したときなど、どのような場合にお渡しするかを院内で決めておくと、迷わずに運用できます。

お渡しする時期の例

初回から1年間で、療養計画書をいつお渡しするか

例を選ぶ
  1. 1か月目初回のお渡し初回のお渡し
  2. 2か月目変更がなければ不要
  3. 3か月目変更してお渡し変更がなければ不要
  4. 4か月目変更がなければ不要
  5. 5か月目お渡しの目安変更がなければ不要
  6. 6か月目変更がなければ不要
  7. 7か月目お渡しの目安変更がなければ不要
  8. 8か月目変更がなければ不要
  9. 9か月目お渡しの目安変更がなければ不要
  10. 10か月目変更がなければ不要
  11. 11か月目お渡しの目安変更がなければ不要
  12. 12か月目変更がなければ不要

変更がない場合は、初回から数えて、概ね4か月に1回以上お渡しします。この例では、5か月目と9か月目が目安です。

内容を変えたときは、その月にお渡しします。そこから数えて、概ね4か月に1回以上お渡しします。この例では、7か月目と11か月目が目安です。

※患者さんやご家族から求められたときも、お渡しします。通知の表現は「概ね4月に1回以上」で、日数の決まりはありません。図は毎月受診する場合の例です。受診の間隔が2〜3か月あく患者さんで、次の受診まで待つと前回のお渡しから4か月を超える場合は、その前の受診でお渡しします。

お渡ししたら、写しと説明の記録を残す

お渡しした療養計画書の写しは、診療録に添付します。北海道厚生局と東北厚生局が公表した令和7年度(2025年度)の個別指導の指摘事項にも、写しが診療録に添付されていない例が挙げられています。

電子カルテをお使いの場合は、お渡ししたものと同じ内容の文書を、その患者さんの記録に保存します。電子的に保存する場合の扱いは、入院診療計画書などについて示された疑義解釈(2026年4月1日 その2 問23、同年5月8日 その5 問16)が参考になります。ただし、いずれも療養計画書について示されたものではありません。

署名が不要になった後も、説明して同意を得ることは算定の要件です。同意の取り方(口頭か書面か)は、通知では定められていません。療養計画書を用いて説明し、同意を得たことを、院内で決めた書き方でカルテに記録しておくと、後から確かめやすくなります。

電子カルテ情報共有サービスを使う場合

患者さんが求めた場合は、電子カルテ情報共有サービスの患者サマリーに、療養計画書の記載事項を入力する方法もあります。入力したことと、患者さんの同意を得たことを診療録に記録すれば、療養計画書を作成してお渡ししたものとみなされます。この場合も、説明して同意を得ることは必要です。

ただし、このサービスは2026年9月時点で全国での運用が始まっておらず、厚生労働省は2026年度の冬ごろの運用開始を目標としています。

出典:厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和8年3月5日)別添1 B001-3(1)(2)(4)(5)、北海道厚生局「令和7年度 新規個別指導・個別指導に係る指摘事項の概要」、東北厚生局「令和7年度 個別指導における主な指摘事項(医科)」、厚生労働省「疑義解釈資料の送付について(その2)」(令和8年4月1日)問23、「同(その5)」(令和8年5月8日)問16、厚生労働省「電子カルテ情報共有サービス 概要案内」(2.1.0版)。

療養計画書の欄ごとの書き方と記入例

ここからは、2026年6月からの様式(別紙様式9)の欄に沿って、書き方を確かめていきます。下の図では、架空の患者さんのカルテと、その記載をもとに作った療養計画書の記入例を並べています。欄を選ぶと、材料になるカルテの記載と、この例での書き方が表示されます。

記入例・架空の患者さん

カルテのどの記載が、療養計画書のどの欄になるか

確かめる欄を選ぶ

目標の数値(体重・BMI・血圧・HbA1c)

カルテの記載評価(A)に書かれた目標値。現在の値は、バイタルと所見(O)の欄にあります。

この例では体重、血圧、HbA1cの目標を書き、BMIは空欄にしています。体重とBMIの両方を書く場合は、身長から計算して食い違わないようにします(身長165 cmで70 kgなら、BMIは約25.7です)。

①達成目標

カルテの記載評価(A)で、患者さんと確認した達成目標。

この例ではカルテで患者さんと確認した達成目標を、そのまま書き写しています。カルテにない期限や数値は書き足していません。

②行動目標

カルテの記載評価(A)で、患者さんと相談して決めた行動目標。

この例ではカルテで患者さんと相談して決めた3つの行動目標を、カルテのとおりに書いています。運動の強さは、下の「重点を置く領域と指導項目」の運動の欄に書いています。「揚げ物と炒め物を減らす」は、カルテに回数がないため、回数を書き足していません。

重点を置く領域と指導項目:食事

カルテの記載問診(S)の食習慣と飲酒、評価(A)の食事の指導。

この例では指導した5つの項目にチェックを入れています。週何回に減らすかはカルテに書かれていないため、空欄のまま残し、医師に確認します。

重点を置く領域と指導項目:運動

カルテの記載問診(S)の運動習慣、評価(A)の運動の指導。

この例ではカルテの指導内容を、種類・時間・頻度・強度の4つの括弧に分けて書いています。内容が様式に印字された例の語と同じなので、そのまま使っています。

重点を置く領域と指導項目:たばこ・その他

カルテの記載問診(S)の喫煙歴と睡眠、評価(A)の指導内容。

この例では非喫煙のため「非喫煙者である」にチェックを入れ、その他の欄では、睡眠の確保、減量、家庭での計測を選んでいます。

検査

カルテの記載所見(O)の採血の結果と採血日。

この例では8月18日の空腹時の採血の値を、採血日とともに書き写し、「空腹時」にチェックを入れています。栄養状態は、カルテの「肥満」に合わせています。

目標の達成状況(継続の場合のみ)

カルテの記載2回目以降の受診で、前回の目標と比べた評価。

この例では初回のため空欄です。継続では、前回の計画書の目標に対してどこまで達成できたかを書きます(例:家庭血圧の測定は毎日続いている。体重は2 kg減った)。

電子カルテの記載再診・2026年9月1日

バイタル身長 165.0 cm 体重 72.4 kg BMI 26.6 血圧 136/78 mmHg

S近医より紹介され、8月18日に当院を初診。2型糖尿病・高血圧症・脂質異常症で加療中。食事は不規則で、揚げ物が多いと自覚。運動習慣はほとんどない。家庭血圧は測っていない。喫煙歴なし。飲酒はビールを週2〜3回。睡眠はやや不足。事務職で座り仕事が中心。

O脈拍 80/分、浮腫なし。採血(8/18・空腹時):血糖 152 mg/dL、HbA1c 7.8%、総コレステロール 214、中性脂肪 168、HDL 48、LDL 132 mg/dL。肥満(BMI 26.6)。

A主病は2型糖尿病。血糖の管理が不十分で、LDLと中性脂肪も高く、血圧はやや高め。背景に肥満、運動不足、食生活の乱れ。目標値は体重 70 kg(現体重の約3%減)、血圧 130/80 mmHg未満、HbA1c 7.0%未満。達成目標「血糖・血圧・脂質を適切に管理し、合併症の発症と進行を防ぐ」を患者と確認。行動目標として、毎日の家庭での血圧・体重測定、1回30分以上のウォーキングをほぼ毎日(息がはずむが会話ができる強さ)、揚げ物・炒め物を減らす、を患者と相談して設定。食事は、朝昼夕を規則正しくとる、食塩・調味料を控え野菜と食物繊維を増やす、飲酒量を減らす、を指導。非喫煙者。睡眠の確保と減量についても指導。

P前医の処方(血糖降下薬・降圧薬・脂質異常症治療薬)を継続。8/18の採血結果を説明。療養計画書(初回)を作成し、内容を説明する。次回は10月6日に予約(採血:HbA1c・脂質)。

生活習慣病 療養計画書

記入日:2026年9月1日

初回 継続

患者氏名:見本 太郎(架空) (男・女)

生年月日:1974年4月10日生(52歳)

主病:

糖尿病 高血圧症 脂質異常症

ねらい:検査結果を理解できること・自分の生活上の問題点を抽出し、目標を設定できること

目標

【目標】体重(70 kg) BMI( ) 収縮期/拡張期血圧(130/80 mmHg未満) HbA1c(7.0 %未満)

【①達成目標】:患者と相談した目標

血糖・血圧・脂質を適切に管理し、合併症の発症と進行を防ぐ。

【②行動目標】:患者と相談した目標

毎日、家庭で血圧と体重を測る。ウォーキングを1回30分以上、ほぼ毎日行う。揚げ物と炒め物を減らす。

【目標の達成状況】(継続の場合のみ)

(初回のため空欄)

重点を置く領域と指導項目

食事

  • 食事摂取量を適正にする
  • 食塩・調味料を控える
  • 野菜・きのこ・海藻など食物繊維の摂取を増やす
  • 外食の際の注意事項( )
  • 油を使った料理(揚げ物や炒め物等)の摂取を減らす
  • その他( )
  • 節酒:〔減らす(種類・量:ビール を週医師に確認回)〕
  • 間食:〔減らす(種類・量: を週 回)〕
  • 食べ方:(ゆっくり食べる・その他( ))
  • 食事時間:朝食、昼食、夕食を規則正しくとる

運動

  • 運動処方:種類(ウォーキング) 時間(30分以上) 頻度(ほぼ毎日) 強度(息がはずむが会話が可能な強さ)
  • 日常生活の活動量増加(例:1日1万歩・ )
  • 運動時の注意事項など( )

たばこ

  • 非喫煙者である
  • 禁煙・節煙の有効性
  • 禁煙の実施方法等

その他

  • 仕事
  • 余暇
  • 睡眠の確保(質・量)
  • 減量
  • 家庭での計測(歩数、体重、血圧、腹囲等)
  • その他( )

検査

【血液検査項目】(採血日8月18日)

  • 血糖(空腹時)(152 mg/dl)
  • HbA1c(7.8 %)
  • ※血液検査結果を手交している場合は記載不要
  • 総コレステロール(214 mg/dl)
  • 中性脂肪(168 mg/dl)
  • HDLコレステロール(48 mg/dl)
  • LDLコレステロール(132 mg/dl)

【その他】栄養状態(低栄養状態の恐れ・良好・肥満)

※実施項目は、□にチェック、( )内には具体的に記入

医師氏名医師が確かめて記名

オフにすると、記入前の様式に戻ります。

※架空の患者さんの例です。記入例は、AIで下書きを作る場合を想定したもので、実際のAIの出力そのものではありません。カルテに書かれていない数値は空欄のまま残し、「医師に確認」の印を付けています。様式は厚生労働省「別紙様式9」(2026年6月施行の版)の項目を画面用に組み直したもので、実際の様式とは配置が異なります。

記入日・初回/継続・主病

記入日を書き、「初回」「継続」のどちらかにチェックを入れます。主病は、糖尿病、高血圧症、脂質異常症のうち、医師がその患者さんの主病と判断したものにチェックを入れます。記入例の患者さんは3つの病気で治療中ですが、カルテの評価(A)に主病は2型糖尿病と記載されているため、糖尿病にだけチェックを入れ、血圧の目標や脂質の検査値は、それぞれの欄に書いています。管理料(Ⅰ)は主病によって点数が異なるため、請求の内容と食い違わないようにします。

【目標】の数値

体重、BMI、血圧、HbA1cのうち、目標を設定した項目にチェックを入れ、目標の値を書きます。現在の値ではなく、医師が患者さんと相談して決めた目標の値です。日本医師会が作成した「療養計画書作成の手引き」では、減量が必要な場合の目安として、現在の体重から3〜5%程度減らすことを目標にする例が示されています。

【①達成目標】と【②行動目標】

様式では、どちらの欄にも「患者と相談した目標」と書かれています。2つの欄の書き分けを、次の表にまとめました。

達成目標と行動目標の書き分け
項目 ①達成目標 ②行動目標
書くこと 治療を続けた先に目指す状態 毎日の生活で実行する行動
記入例 血糖・血圧・脂質を適切に管理し、合併症の発症と進行を防ぐ。 毎日、家庭で血圧と体重を測る。ウォーキングを1回30分以上、ほぼ毎日行う。
避けたい書き方 患者さんと相談していない期限や数値を書き足す 「頑張る」「気をつける」のように、実行できたかを確かめられない書き方

日本医師会の手引きでは、行動目標は2〜3個くらいまで絞り込み、具体的に書くことが勧められています。回数や時間まで書いておくと、次の受診で達成状況を確かめやすくなります。

主病ごとに書くと、たとえば次のような例が考えられます。達成目標は、日本医師会の参考文言にある「HbA1c7%未満を目指す」「体重を3kg減らす」のように、数値を入れて書くこともできます。回数や時間、数値は、患者さんと相談して決めたものを書きます。

主病ごとの達成目標と行動目標の例
主病 ①達成目標の例 ②行動目標の例
糖尿病 血糖を適切に管理し、合併症の発症と進行を防ぐ。 朝・昼・夕の食事を規則正しくとる。夕食の後に20分歩く。
高血圧症 血圧を目標の範囲に保ち、脳卒中や心臓の病気を防ぐ。 毎朝、家庭で血圧を測って記録する。麺類の汁は残す。
脂質異常症 LDLコレステロールを下げ、心筋梗塞や脳梗塞を防ぐ。 揚げ物は週2回までにする。間食の菓子パンや洋菓子は週1回までにする。

重点を置く領域と指導項目

食事、運動、たばこ、その他の4つの領域から、指導した項目を選んでチェックを入れ、括弧の中は具体的に書きます。様式の欄外にも「実施項目は、□にチェック、( )内には具体的に記入」とあります。運動処方は種類、時間、頻度、強度に分けて書きます。様式に例として印字されている語(ウォーキング、30分以上、ほぼ毎日、息がはずむが会話が可能な強さ)は、指導した内容と同じであれば、そのまま使えます。

検査(血液検査と栄養状態)

採血日と、血糖(空腹時・随時・食後の別)、HbA1c、脂質の値を書きます。検査結果を別にお渡しし、その旨を診療録に記載している場合などは、この欄のうち血液検査項目の記載を省略できます。様式にも「血液検査結果を手交している場合は記載不要」と書かれています。【その他】の欄では、栄養状態(低栄養状態の恐れ・良好・肥満)を選びます。

【目標の達成状況】(継続のとき)

継続のときは、前回の計画書の目標に対して、どこまで達成できたかを書きます。できていることを具体的に書いておくと、次の目標を話し合う材料になります。

医師氏名

医師氏名の欄には、内容を確かめた医師の氏名を記入します。

出典:厚生労働省 別紙様式9(令和8年3月5日 保医発0305第6号 様式)、日本医師会「生活習慣病管理料に関する療養計画書 作成補助資料について」(令和7年4月1日)資料1「療養計画書作成の手引き」。

カルテの記載と食い違わないための確認リスト

療養計画書の写しは診療録(カルテ)に添付するため、カルテのほかの記載と内容がそろっていることが大切です。カルテを見ながら書き写す作業では、次のような食い違いが起こることがあります。

  • 体重とBMI:目標の体重とBMIの両方を書いたが、身長から計算すると合わない
  • 数値と日付:計画書の血圧や検査値、採血日が、カルテの記録と異なる
  • 主病:計画書の主病が、カルテに記載した主病や、管理料の請求の区分と異なる
  • 目標:カルテで患者さんと確認した目標にない期限や数値が、計画書に加わっている

令和7年度の個別指導の指摘事項では、生活習慣病管理料(Ⅱ)について、療養計画書を作成していない、写しを診療録に添付していない、療養計画書の項目欄への記載が不十分である、実際の主病と算定上の区分が異なる、といった例が公表されています。記載は必要な項目だけで差し支えありませんが、その項目は具体的に書きます。

お渡しの前後に、次の8つを確かめておくと、記載の漏れや食い違いに気づきやすくなります。チェックを入れながらお使いください。

確認リスト

お渡しの前後に確かめる8つのこと

8項目のうち0項目を確かめました

※チェックの状態は保存されません。院内の確認手順を作るときの参考としてお使いください。

出典:東北厚生局「令和7年度 個別指導における主な指摘事項(医科)」、四国厚生支局「令和7年度に実施した個別指導において保険医療機関(医科)に改善を求めた主な指摘事項」。

療養計画書の作成を効率化する方法

療養計画書の作成と説明は、制度の見直しの議論でも負担として挙げられてきました。中央社会保険医療協議会(中医協)の資料には、2023年度の調査の結果が示されています。生活習慣病管理料の算定で困難なこととして最も多かったのは、療養計画書を作成し、丁寧に説明したうえで署名を受けることでした(当時は署名が必要でした)。

厚生労働省の通知でも、別紙様式の作成や保存の方法について、医師事務作業の負担軽減などの観点から、各医療機関で工夫するよう求められています。手間を減らす方法は、大きく3つの段階に分けて考えられます。3つ目の段階で使うRPAは、パソコンで人が行う操作を、ソフトウェアのロボットが代わりに行う仕組みです。

作成の手間を減らす3つの段階
段階 方法 減らせる作業 人に残る作業
1.様式と書き方をそろえる 電子カルテに様式をテンプレートとして登録する。院内の記入例や定型文を用意する(日本医師会の「療養計画書作成における参考文言」も使える) 手書き、毎回の文の作成 数値の転記、チェック、内容の確認
2.カルテの情報を反映する 氏名・生年月日、採血日と検査値などを様式に自動で反映する。お渡しの時期を一覧で管理する 数値の転記、お渡しの時期の管理 目標や指導項目の文の作成、内容の確認
3.AIで下書きを作り、RPAで記入する 当日のカルテの記載から、AIが欄ごとの下書きを作り、RPAが様式への記入と出力を行う 記載を探し、書き写し、様式に記入する作業 患者さんとの目標の相談、医師による確認と修正、説明と同意

どの段階でも、内容を確かめるのは医師で、患者さんへの説明も医師が中心となって行います。看護師や管理栄養士が説明を補う医療機関もあります。下の図では、手作業で作る場合と、AIとRPAで下書きを作る場合とで、工程ごとの担い手を比べています。

流れの例

療養計画書ができるまでの流れと、それぞれの担い手

作り方を選ぶ
  1. 1

    対象の患者さんを確かめる

    スタッフRPA

    当日の外来の予約から、療養計画書を作る必要がある患者さん(初めて作る患者さんと、お渡しの時期が来た患者さん)を、スタッフが確かめます。

    RPAが電子カルテにログインし、あらかじめ決めた条件で、療養計画書を作る必要がある患者さんを抽出します。

  2. 2

    カルテの記載を集める

    医師・スタッフRPA

    カルテの画面を開き、身長・体重・血圧、検査値、指導した内容を読みながら、書き写す箇所を探します。

    当日の記載(S・O・A・P)、バイタル、検査値、処方をRPAがまとめて取得します。

  3. 3

    欄ごとの文を作る

    医師・スタッフAI

    目標、達成目標、行動目標、食事や運動の指導項目を、カルテの記載をもとに一つずつ書きます。

    AIが欄ごとの下書きを作ります。カルテに書かれていない期限や数値は補わず、空欄のまま残して印を付けるよう、AIに指示しておきます。

  4. 4

    様式に記入する

    医師・スタッフRPA

    チェック欄と記入欄を埋めます。

    下書きを様式の所定の欄に記入します。

  5. 5

    内容を確かめ、直す

    医師

    医師が内容を確かめ、必要に応じて直し、記名します。この工程は、どちらの作り方でも変わりません。

  6. 6

    患者さんに説明し、同意を得る

    医師

    確定した療養計画書を使って丁寧に説明し、患者さんの同意を得たうえでお渡しします。写しは診療録に添付します。

手作業では、6つの工程のすべてを医師とスタッフが行います。とくに2〜4の「探す・書き写す・記入する」に手間がかかります。

AIとRPAが受け持つのは、下書きを作るまでの1〜4の工程です。5の確認と修正、6の説明と同意は、これまでどおり医師が行います。

※工程の分け方は一例です。どこまでを自動化できるかは、電子カルテの種類や院内の運用によって異なります。

RPAで自動化できる医療機関の業務と導入のポイントは、RPAの解説記事で詳しく説明しています。

出典:中医協 総会資料「個別事項(その14)生活習慣病対策」(令和5年12月8日)、厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和8年3月5日)別添1の2 通則、日本医師会「生活習慣病管理料に関する療養計画書 作成補助資料について」(令和7年4月1日)資料2。

AIで療養計画書を下書きするときの注意

AIに任せること

  • カルテの記載から、欄に合う文と数値を拾い出す
  • 様式の書き方に合わせて、文を整える
  • カルテに書かれていない項目を、空欄のまま示す

人が行うこと

  • 患者さんと相談して、目標を決める
  • 下書きを確かめ、必要に応じて直す
  • 患者さんに説明し、同意を得てお渡しする

目標はAIが決めず、相談した内容を整える

達成目標と行動目標は、様式にあるとおり「患者と相談した目標」です。AIの役割は、カルテに記録された相談の内容を、欄に合わせて整えることにとどめます。カルテに書かれていない期限や数値は補わず、空欄のまま残して医師の確認を求める決まりにしておくと、確かめるべき箇所がはっきりします。

患者情報の扱い方を院内で決めておく

AIに患者情報を入力する場合は、入力した情報が保存されるか、AIの学習に使われるかを、契約などで確かめておく必要があります。厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版」のQ&Aでも、生成AIに医療情報を入力する場合の考え方が示されています。RPAが電子カルテにログインする場合は、利用者IDとパスワードの管理や、操作の記録についても、ガイドラインに沿って院内で決めておきます。生成AIに患者情報を入力してよいかの判断と院内ルールの作り方は、病院のシャドーAI対策の記事でまとめています。

医師による確認を省かない

厚生労働省は、AIを用いた診断・治療支援のプログラムについて考え方を示しています。診断や治療を行う主体は医師であり、最終的な判断の責任も医師が負う、というものです。療養計画書の下書きでも同じように、目標や指導の内容を確かめ、必要に応じて直すのは医師です。「カルテの記載と食い違わないための確認リスト」は、AIの下書きを見直すときにも使えます。

出典:厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版」システム運用編・Q&A、厚生労働省医政局医事課長通知「人工知能(AI)を用いた診断、治療等の支援を行うプログラムの利用と医師法第17条の規定との関係について」(平成30年12月19日 医政医発1219第1号)。

M-Automateで、療養計画書の下書きを作る

MedSyncは、医療機関向けAIプラットフォーム「MS-AI」のサービスの一つとして、AIとRPAを組み合わせ、書類の下書きや様式への記入などの作業を自動化する「M-Automate」を提供しています。ある訪問診療のクリニックでは、居宅療養管理指導書の下書きの作成から送付までに使われています。詳しくは、居宅療養管理指導書の作成・送付を効率化した事例をご覧ください。

外来の生活習慣病の療養計画書でも、同じ仕組みで下書きを作る運用に実績があります。流れは次のとおりです。

  1. RPAが電子カルテにログインし、当日の外来の患者さんから、生活習慣病管理料の算定の対象で、療養計画書をまだ作成していない方を、あらかじめ決めた条件で抽出します。
  2. RPAが、当日のカルテの記載、バイタル、処方などの診療情報を取得します。検査値と採血日は、カルテに記載されたものを使います。
  3. AIが、カルテの記載をもとに、主病、目標、達成目標、行動目標、指導項目などの下書きを欄ごとに作ります。目標は、医師が患者さんと相談してカルテに記録したものを、欄に合わせて整えます。カルテに書かれていない期限や数値を補わないよう、AIへの指示を設計しています。それでも下書きに誤りが含まれることがあるため、医師による確認は欠かせません。
  4. RPAが下書きを様式に記入してPDFに出力し、電子カルテまたは院内で決めたフォルダに保存して、印刷します。この時点では、まだ医師が確かめる前の下書きです。
  5. 医師が内容を確かめ、必要に応じて直して、記名します。そのうえで、確定した計画書を用いて患者さんに説明し、同意を得てお渡しします。確認や説明の場で内容を直した場合は、先に保存したPDFを、直した後の計画書に差し替えます。お渡ししたものと同じ計画書を写しとして診療録に添付し、説明して同意を得たことも記録します。

当日のカルテから下書きを作るため、患者さんがお帰りになる前に医師が確かめて説明できるよう、作成の時点を外来の流れに合わせて決めておきます。

現在お使いの電子カルテのまま導入できる場合があります。電子カルテの種類やネットワークの構成によっては、導入の方式や設定の調整、電子カルテの提供会社への確認が必要になることがあります。患者情報を処理・保管する場所、AIの学習への利用の有無、アクセス権限や操作の記録については、情報セキュリティのページでご説明しています。

療養計画書の作成について、ご相談ください

月あたりの作成件数、現在の作成の手順、お使いの電子カルテをお聞かせください。患者情報を含めずにご相談いただけます。

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療養計画書についてよくあるご質問

署名欄のある、改定前の様式を使ってもよいですか。

使っても差し支えないとされています。2026年6月からは患者さんの署名は算定の要件ではないため、署名欄に署名をいただく必要はありません。署名欄に職員などが代わりに記入することは避けてください。療養計画書を用いて説明し、同意を得ることは、引き続き必要です。

院内で様式を作り替えてもよいですか。

療養計画書は、別紙様式9「又はこれに準じた様式」で作成するとされています。通知の通則では、別紙様式は参考として示すもので、示している事項がすべて記載されていれば、同じ様式でなくても差し支えないとされています。電子カルテのテンプレートなど、院内の様式で作成できます。院内の様式にも別紙様式9の項目を設けておき、記入するのは、その患者さんの治療管理に必要な項目だけで足ります。

検査結果を別にお渡ししていれば、検査の欄は空けてよいですか。

はい。検査結果を別にお渡しし、その旨を診療録に記載している場合などは、血液検査項目の記載を省略できます。

毎月お渡しする必要がありますか。

いいえ。お渡しするのは、内容を変えたときと、患者さんやご家族から求められたときです。変更がなくても、概ね4か月に1回以上はお渡しします。

AIが作った下書きを、そのままお渡ししてもよいですか。

いいえ。AIの下書きは、医師が内容を確かめ、必要に応じて直してからお渡しします。目標や指導の内容が、患者さんと相談して決めたものになっているかも、あわせて確かめます。

この記事の出典

執筆:株式会社MedSync。医療機関向けにAIとRPAによる業務の自動化を支援しています。制度の内容は調査基準日の時点のものです。算定にあたっては、厚生労働省の最新の通知・事務連絡もあわせてご確認ください。

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